差別や偏見について描く、ポップでキュートな60年代ミュージカル映画!(映画:07)
ヘアスプレー
Hairspray
2007年 ニュー・ライン・シネマ(ワーナー・ブラザーズ)供給
アメリカ・イギリス映画
監督 アダム・シャンクマン
出演 ニッキー・ブロンスキー/ザック・エフロン/ジョン・トラボルタ etc.
誰もが求める、ミュージカル映画のお手本のような作品です。
楽しく盛り上がる音楽の数々、カラフルでお洒落なファッション、そして何より差別や偏見に対する強いメッセージの込められた内容。
明るく楽しい内容なのに、しっかりとした強いメッセージが込められている所が見事な1作です!
ヘアスプレー:あらすじ
舞台は1960年代、まだ黒人差別が色濃く残るアメリカ。
主人公は、アメリカのボルチモアに住む、歌とダンスとお洒落が大好きなビッグサイズの明るい女の子、トレイシー。
彼女はある日、ティーンに人気のローカルダンス番組“コニー・コリンズ・ショー”に念願叶って、出演する事になります。
しかし、ビッグサイズのトレイシーが人気者になる事を良く思わない番組プロデューサーのべルマは、あの手この手でトレイシーを番組から追い出そうとします。
また、白人至上主義のべルマは、番組内で月に1度黒人ダンサーが出演する“ブラック・デー”の廃止を提案します。
ブラック・デー廃止への反対、また、黒人差別への異議より「毎日をブラック・デーにしたい!」と考えるトレイシーは、彼女の親友ぺニー、ブラック・デーでMCを務めるメイベル、彼女の息子でトレイシーの居残り仲間シーウィードなどと共に番組へのデモ活動を行うことになります。
そんな中、デモ活動中にひょんな事から警察に追われる身となってしまったトレイシー。
しかし、彼女の真っ直ぐな様子に勇気を貰った多くの人々の協力や支えもあり、大どんでん返しが待ち受けています。
ヘアスプレー5つの魅力
魅力その1:差別や偏見に負けない人間の強さと美しさ
この作品には“黒人”や“ビッグサイズ”など、世の中で差別や偏見の対象となっている人物が多く登場しますが、それぞれが自分に誇りを持ち、力強く生きる様が描かれています。
登場人物の紹介も兼ねて、簡単にその様子を説明していきます。
トレイシー
この映画の主人公であり、ビッグサイズの体系でありながら、そんな事は気にも止めていません。
好きなお洒落を楽しみ、明るく自由に生きています。
エドナ(トレイシーの母)
太っている事を気にしており、長年引きこもりの生活をしていました。
しかし、トレイシーに「世界は変わったわ!人と違う事が良い事なの!」と言われ、娘の活躍する姿を見て、次第に自信を持ち始めます。
また、彼女を愛して止まない夫ウィルバーの愛も彼女を大きく支えます。
シーウィード、メイベル親子
黒人街の中心となっている親子で、黒人差別の色濃く残る時代に、自分たちの肌の色に誇りを持ち、強くたくましく生きています。
彼らの歌う歌詞の中で、「1番良い食べ物は、黒い色をしている」と例えており、自信みなぎるパワフルな姿を見せてくれます。
ペニー(トレイシーの親友)
彼女自身は細身の白人であり、母親が白人至上主義の傾向にあります。
しかしシーウィードと恋に落ち、自分の意志で黒人との交際を公表します。
シーウィードに黒人街へ招待された際は、トレイシーと「黒人からの招待なんて、私達すすんでる!」と大喜びします。
コニー・コリンズ
“コニー・コリンズ・ショー”のMC(司会者)です。
差別をなくしたいと考えており、フィナーレでは「これが未来だ!」「この番組は、差別を永久に追放する!」などと明るい未来を宣言しています。
このように、世間の意見に惑わされない、真っ直ぐな登場人物達に、私達も教えられるものがあります。
魅力その2:ジョン・トラボルタの役者魂
俳優でもあり、ダンサーでもあるジョン・トラボルタ。
男性らしい体格のジョンですが、ヘアスプレーではなんとトレイシーの母親役で出演しています。
私はこの作品でジョン・トラボルタを知ったのですが、正直母に言われるまで男性が演じているとは気付きませんでした。(私が鈍い事もありますが。)
ビッグサイズではありますが、しっかり女性的に演じられています。
クライマックスシーンでのパワーみなぎるダンスシーンは、とても魅力的です。
魅力その3:明るい内容にしっかりとしたメッセージ性
この映画は、終始明るい雰囲気の中、物語が進んでいきます。
音楽も比較的に明るい音楽が多いです。
しかし、その中にも、差別や偏見に対するメッセージ性がしっかりと込められており、そのギャップに驚かされます。
恐らく子供が観ても理解出来る程、分かりやすい内容にもなっているので、楽しみつつ、世の中の問題を考えるきっかけにもなる作品でしょう。
魅力その4:明るく楽しい、盛り上がる音楽の数々
ミュージカル映画の醍醐味といえば、クライマックスシーンを飾る音楽です。
ヘアスプレーではフィナーレを飾る“You Can‘t Stop The Beat”が最高に華やかで盛り上がり、メッセージ性もある、素敵な1曲となっています。
何度観ても感動のフィナーレです。
それぞれの楽曲がヘアスプレーならではの、歌詞の内容とリズムで出来ており、1度聴いたら忘れられない音楽ばかりです。
個人的な意見では、数々のミュージカル映画の中でも、群を抜いて音楽性に優れている作品だと思います。
魅力その5:個性を生かした“魅せる”ファッション
60年代の流行ファッションをカラフルで華やかに表している事も、この映画の人気の1つですが、フィナーレでの衣装は、主要人物の個性を生かしつつ、ダンスが綺麗に見えるように工夫されている事が感じられます。
エドナの衣装はゴージャスで華やかに魅せるようなドレス、ペニーの衣装は細身のスタイルがよく映える細身のドレス、シーウィードの妹アイネスの衣装は回転した時に綺麗に見えるようなドレスなど、視覚的にもフィナーレを盛り上げる工夫がされています。
もちろん、登場人物の普段着もとても可愛く、思わず参考にしたくなる服ばかりです。
その他の情報
舞台化もされており、日本では渡辺直美さんがトレイシー役で、主演を務めています。
最後に
ミュージカル映画の中ではかなり有名で人気のある作品であり、観る人によって魅力を感じる部分も変わる作品だと思います。
ぜひ一度、ご自身の目で観て、ヘアスプレーの世界観を楽しんでみて下さい!(*^^*)