*ブレイクタイム*

息苦しいこの世の中にほんの少しの安らぎを。

死ぬ前、“人生の締めくくり”に観たい、鬼才の最高傑作!(映画:02)

ビッグ フィッシュ

Big Fish

2003年 コロンビアピクチャーズ(ソニー)供給 アメリカ映画

監督 ティム・バートン

主演 ユアン・マクレガー

原作 小説/ダニエル・ウォレス 「ビッグフィッシュ-父と息子のものがたり-」

 

シザーハンズ」「チャーリーとチョコレート工場」など、数々の名作を生み出した鬼才、ティム・バートンの最高傑作と謳われる作品。

ダークな世界観のイメージが強い彼の作品の中でも、ビッグフィッシュは珍しく、爽やかで明るい印象の作品です。

「父と息子の和解」がテーマの作品になっています。

タイトルの「ビッグフィッシュ」は、“誰も信じないホラ話”という意味がある。

 

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あらすじ

(ネタバレ含みます。)

社交的で、面白おかしく話をして人を楽しませる事が得意な父エドワード。

幼い頃は父の話が大好きだったが、大人になるにつれて、父の話を“ホラ話”だとうんざりするようになる息子ウィル。

ある日エドワードが病に倒れた事をきっかけに、ウィルは身重の妻ジョセフィーンを連れて実家に戻るのですが、そこでエドワードは少しずつ自分の歩んできた人生について話し始めます。

その内容は、不思議な目を持つ魔女や身長5メートルの巨人、惚れた女性の名前を知る為に3年間サーカス団でのただ働きや下半身が繋がった美人双子姉妹の協力のもと徴兵先の戦場脱出など、奇想天外でとても本当の話とは思えない内容に、ウィルはうんざりしてしまいます。

しかし父の過去の真実が明らかになっていくに連れ、ウィルの気持ちにも変化が現れ、エドワードの最期の物語はウィルによって締めくくられるのでした。

エドワードの死後、彼のお葬式には、エドワードの話に登場した人物のモデルになったであろう多くの人々が集まり、ウィルはエドワードの話が全くのホラ話ではなかった事を知り、かつて父が自分にしてくれたように、自分の息子にも愉快な話を語る楽しい父親になるのでした。

 

ビッグフィッシュ3つの魅力

 

魅力その1:平凡な毎日を幸せだと思うヒントが隠されている

この作品では、ごく普通の人生が父エドワードの脚色により、壮大な人生として語られています。

しかし、映画のラストで息子ウィルは父の人生を“物語が真実になってしまった”と語ります。

物語のような劇的な人生ではなかったにしても、エドワードが沢山の人と出会い、多くの人々に愛され、楽しく幸せな人生を送った事は紛れもない事実なのです。

私はこの作品を観て、脚色=嘘 ではなく、物事を2倍3倍楽しくしてくれる1つの方法なのではないかと思います。

平凡な人生でも、想像力を膨らませたり、見方を少し変えてみたりする事で、何でもなかった日常が楽しいものに変わるのではないでしょうか。

エドワードのように、何気ない毎日を大切に楽しく考える事で、平凡な人生がとても幸せな事に気づかされます。

 

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魅力その2:年を重ねるごとに変わる見え方

「父と息子の和解」が作品のテーマでもあるように、話が進むにつれて、息子ウィルが父エドワードを理解していく様子が描かれています。

実は映画をみている側にも同じような見方が出来るのです。

私がこの映画を初めて観たのは中学生の時、当時好きだったティーンのカリスマ、マイリー・サイラスが出演していると知り、DVDを借りて母と一緒に観ました。

当時の私は、現実とファンタジーの入り混じった内容にちんぷんかんぷんといった感じでしたが、隣で母は大号泣。

「あなたも大人になれば、この映画の意味が分かるよ。」と言われた記憶があります。

それからも時々この映画を観ているのですが、年を追うごとに自分の人生経験も増え、エドワードの本当に語りたかった事が見えてくる気がします。

私の母は、私が高校生の時に他界しているのですが、その頃以降、暫くは亡き母とエドワードを重ね、ウィルと同じ目線で親の人生から多くを学びました。

20代後半になり、自分の人生経験が増えていくと、今度はエドワードと同じ目線で自分自身の人生を見つめるようになり、彼のような人生の見方が出来れば最高の人生になるのだろうなと考えるようになりました。

このように、自分の年齢によって、観る側も息子ウィルの目線から段々と父エドワードの目線へと視点が移り変わっていく作品だと思います。

また、子供ができ、自分が親になる事で、新たな見方の出来る作品なのかもしれません。

年を重ねるごとに見えてくるものや感じる事が変わる、何度観ても飽きることのない作品なので、ぜひ、人生の節目ごとに観てほしいと思う作品です。

 

魅力その3:現実とファンタジーの融合

この作品は、いつものティム・バートン作品とは違い、ファンタジーの世界観が炸裂している訳ではありません。

むしろ舞台となるのはごく普通の町の風景なのですが、そこに不思議な人物が登場する事で、絶妙にファンタジーの要素が加わり、独特な世界観を生み出しています。

また、川や水仙の花畑など、自然のシーンがとても美しく描かれており、人工的ではない、柔和なファンタジーの世界観が再現されています。

まるで、優しい夢を見ているかのような温かな演出も、この作品の魅力の1つと言えるでしょう。

 

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その他の情報

 

・舞台も上演されている。(日本ではエドワード役を川平慈英さんが演じている。)

 

最後に

 

人生に少し疲れた時や節目の時に観ると、きっと大切な事に気づかせてくれる優しい映画です。

ティム・バートンの最高傑作、彼の不思議な世界をぜひ覗いてみて下さい(*^^*)♪